49日の頃に。

(2023/03/22)

49日の頃に。

 先日、ご自宅で旅立たれたOさんのお宅へ伺いました。いつもの部屋はベッドがなく、少し広く感じましたが、写真や絵はいつもの場所にありました。一生懸命、娘さん達とともに、ご主人を支えた奥様と、療養中のご様子や、ご家族の事、葬儀の事など、色々な話をしました。なんと、伺ったその日がご夫妻の結婚記念日。自然な流れで、お二人の馴れ初めまで聞かせて頂きました。きっと、心優しいOさんが、奥様のもとに私達を呼んでくださったのだと確信しました。その後、Oさんが自主制作して、葬儀でながされたメモリアルムービーも拝見しました。「また、来世でお会いしましょう。」と、優しく落ち着いた声で締めくくられていました。

 旅立ちの2週間前まで、絵筆を持たれていたと。Oさんの絵画展へ何度か足を運びましたが、私のお気に入りは、Oさんのココペリの絵。ココペリは、アメリカ・インディアンの精霊で、笛を吹くと草木が芽吹き動物たちは子供が生まれると言われ、豊穣、子宝、幸せの神と伝えられています。ココペリのようなOさんの笑顔やお話。白いタキシードがお似合いで、ワインや絵、歌やお喋りが大好きなダンディなOさんの診療は、自分の体とのつきあい方、最期まであきらめないで生ききる姿、ご家族の大きな支えなど、教わることの多い、かけがえのない時間でした。Oさん、ご家族のみなさま、本当にありがとうございました。

 Oさん、また、来世でお会いしましょう。

松山ベテル病院 医局長

東雲神社の椿寒桜

Oさんの描いた「ココペリ」