(2018/06/20)
この時期にふと風に乗ってやって来る匂いで思い出すことがあります。
薬学部学生の時、卒論のための実験を始めたばかりの頃。実験がうまくいかず落ち込み、一人暮らしの部屋に帰りたくなくて、ただひたすら暗くなるまで自転車をこぎ、たどり着いた川沿いの草むらです。田舎の匂いに包まれながら誰にも見つからないようにじっとしていました。その後どうしたかはよく覚えていないのですが、その光景を強烈に思い出すのです。
匂いによって記憶や経験が呼び覚まされる現象は、誰にでもあると思います。ベテル病院の近くのミカン畑からの花の匂いにも思い出す光景も有ります。
ただ、今年はいつもと違っていました。寒暖の差の激しい時期に風邪をひき、鼻炎症状のひどい状態が長引きました。味も匂いも感じず、季節のすがすがしさを感じることができませんでした。自分の体力・免疫力の低下をひしひしと感じる季節になってしまいました。
(薬剤課 薬剤師 主任 大内淳子)