(9) 健 康 茶
さまざまな植物が健康茶として飲まれています。その中には漢方薬や西洋医学の薬として使われているものもたくさんあります。健康茶は、薬ほど濃くするわけではないので効果としてはそこまで期待できませんが、健康維持のため、効能を知り、自分なりのブレンドを持っておくのもいいかも知れません。以下に健康茶としてよく使用されるもののいくつかを解説してみましょう。
えびすぐさ
ハブ茶として多く飲用されています。漢方名では決明子(けつめいし)といい、白内障・便秘に効果があります。
おおばこ
西洋医学的には、フスタギンという咳止めですが、実(み)は漢方名で車前子(しゃぜんし)といい、膀胱炎や痰の多い咳嗽(がいそう)に使用されています。
びわ葉
肺熱による咳嗽、吃逆(きつぎゃく)・噯気(あいき)・腹満(ふくまん)など胃熱の症状に用いられます。
よもぎ
漢方薬として芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)という処方に含まれていて、冷え症の人の不正性器出血に用いられます。また外用として老人の方の乾燥肌による瘙(かゆ)みに効果があります。
どくだみ
漢方名では、魚醒草(ぎょせいそう)という清熱解毒薬です。呼吸器、消化器の感染に使用されるほか、利尿作用もみられ、その効能の多さから十薬ともよばれています。
げんのしょうこ
名前が、効果の即効性を物語っています。げんのしょうこエキスは西洋薬フェロベリンAの成分の一つであり、止痢剤として強い効果があります。
はと麦
漢方名ヨクイニンは有名です。体内の湿を取る作用に優れ、イボや関節痛に対して効果が高いです。たくさんのものを混ぜて飲用とするときには、はと麦を入れると全体の味がマイルドになります。
くこの実
漢方では枸杞子(くこし)として肝腎を補うのに使われます。腎を補うことは抗老化という考えがありますので、甘みもあり、薬膳でも多く使用されるようです。
自分で採り入れて、乾(ほ)し、煎(い)って、保存するのは手間がかかります。それでもハブ茶などは実(み)を集めるので、量(かさ)が少なく、比較的扱いやすいです。味もなかなかよいですし、自然の恵みを体内に取り入れるという考えで、採り入れから試してみるのも面白いと思います。
参考文献:漢薬の臨床応用 中山医学院編 神戸中医学研究会訳
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