(4)めまい
めまいを起こす疾患は、多種多様です。西洋医学的に鑑別診断を行うには多方面からアプローチする必要があります。脳外科・神経内科・耳鼻科・循環器科的検索はもちろん、整形外科・消化器科的な検索等も行わなければならないこともあります。めまいには、 脳腫瘍,小脳出血,脳幹部梗塞のように器質的原因によって起こるものと、メニエル氏病など器質的には異常を認めない機能的な問題によるものとがありますが、中医学の治療の適応は後者ということになります。
めまいの中医学的病因は、“痰(たん)”、“火(か)”、“風(ふう)”、“虚(きょ)”、“瘀(お)”の5つに分けることができます。中医学独特の用語が入って解りにくいと思いますが、1つ1つ紹介してみましょう。

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“痰”
痰飲(人体局所に滞留した異常体液の総称
痰飲が心神(中医学臓腑としての『心』意識)に影響すると、めまい、動悸、精神症状等を引き起こします。水分代謝を改善する必要があり、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、五苓散(ごれいさん)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)等が選択されます。
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“火”
内火(臓腑の陰陽失調で発生しやすく、臓腑実火と陰虚火旺に分類)
肝郁から肝火が生じる場合と体内の陰(水分的なもの)の消耗により相対的に陽が亢進し、熱を発生する場合があります。肝火の際は、目が赤い、頭痛などもみられ、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)等が処方されます。陰虚に対しては一貫煎(いっかんせん)等の処方があります。
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“風”
内風(『肝』が失調し、気血の運行や筋脈の滋養が障害されると発生しやすく、動揺、めまい、痙攣などの症状が現れる。感冒の風邪とは区別される。)
肝陽が上昇し、頭部に急激に逆乱する状態で、釣藤散(ちょうとうさん)等が適応処方です。
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“虚”
気血不足
例えば消化器に病変があり、元気がなく、栄養状態が悪い状態などがあてはまります。気血を補う治療が必要になります。
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“瘀”
瘀血(おけつ:血が臓腑や経絡に停滞したり、経脈から離れて停留した状態)
つまりは、血流の悪い状態を考えればよいと思います。その場合でもめまい症状を起こすことがあり、血流改善の薬が必要となります。
中医学最古の古典『黄帝内経』の一節に“風によって生じるふるえや揺れ、めまい、皆、肝に属す”という言葉があります。めまいと特に関係の深い臓腑は『肝』ということです。『肝』は精神的なストレスの影響を受け、失調しやすいため、日々の生活の中でストレスに対処する方法を考えていくことも大切です。
参考文献:やさしい中医学入門、いかに弁証論治するか、老中医の診察室(東洋学術出版社)
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